コーヒー、カカオ、米、綿花、コショウの暗黒物語―生産者を死に追いやるグローバル経済
コーヒー、カカオ、米、綿花、コショウの暗黒物語―生産者を死に追いやるグローバル経済
ここでとりあげられた一次農作物は先物取引がたっています。価格は消費量や収穫量のみで変動するのではなく、政治的なかけひきや投機に影響されます。たとえば綿花の章ではアメリカの保護政策を紹介しています。 合成繊維の台頭で綿価格は暴落します。アメリカ政府は保護政策としてポンドあたり80セントを給付しました。結果、アメリカの綿は世界市場で質・価格面で優位にたちます。綿価格は下がり、そのしわよせはブラジル、アフリカ、インドの生産者によせられます。 販売価格で肥料、種子、労働をまかなうことができず、経営破たんが生じます。このようにグローバリゼーションがすすむことにより、生産者に大きな負担をしいらせます。 このような問題を解決しようとフェアトレード運動がヨーロッパで盛んにおこなわれます。しかし、その規模は微々たるもので、市場価格を破壊してきた大企業(たとえば、チキータやネスレ)がフェアトレードブランドをたちあげたりと、PR目的で使用することも多々あります。 また、生産者がフェアトレード認定のために組合費を払う必要があったりした場合、貧農はその運動に参加できません。 著者はフェアトレードを非難し、巻末に補足の章をもうけています。この部分だけをよむと、フェアトレード批判だけが目立ちます。しかし、すべての章を読んでいくことで、著者の意見がもっともだということがわかります。 著者はフランスのジャーナリストです。アメリカや日本のジャーナリストに比べ、フランスはアフリカの情報を正確に把握する環境にあります。日本では報道されない情報を得る格好の本です。
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