対米交渉のすごい国 (光文社新書)
一風変わった対米外交交渉戦術のノウハウ本である。 大国アメリカに対する小国カナダ、メキシコ、ニュージーランドおよび日本の交渉事例を通じて、小が大を呑むにはどうしたら良いかを「アメリカを操る21の鉄則」としてまとめている。研究対象を絞り込んだ上で「国益」の定義を明確にし、各々の事例の勝敗を明らかにして、上手く教訓を導き出している。文献や当事者の回顧録をもとに交渉過程を上手に再構成し、それなりの臨場感を味わうことが出来るので読み物としてもおもしろい。特に首脳間の人間関係とその交渉への影響など興味深い話がいくつも書かれている。 ところでこの本は誰が読むべきものなんだろうか。外交官にも参考とはなろうが、さすがに本書にある鉄則は理解して行動しているだろうし、ビジネスマンにはビジネスマン向けの交渉ノウハウ本があろう。おそらくは、少なくとも不用意にアメリカを刺激する発言を避ける意味でも、これから政権を担うであろう民主党の中堅議員や幹部に役立つ本ではなかろうか。 (2009年7月30日記)
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